世の中にはたくさんの「鉄板」的な情報があふれています。こうしたらよくなる、こうやればコンバージョンや何らかの指標が改善する…。
しかし、そういったテクニックは、大枠で当てはまるものもあれば、様々な背景の上に成り立っていて、同じことを行っても同様に改善しないこともあります。そして多くの場合後者です。
必要なのは
- そのテクニックや手段・手法の裏にあるバックグラウンドを読み解き
- 「なんでこの手法を取ったら改善したのか」を考え
- そのバックグラウンドを元に、自社に落としこんで施策を考える
ことですよね。
それを体感するための一つの例として、ConversionXLにわかりやすい記事がありました。
When Conversion Optimization Best Practices Fail :
http://conversionxl.com/conversion-optimization-best-practices-fail/
それぞれの事例について、何回かにわたってご紹介&雑感を書いていきたいと思います。
結構ありますので…。
※ご紹介した記事のもう一つの意味は「こうやっていろいろな悪い例を上げているけれど、これが絶対というわけではないんだよ」ということです。
No.1 嫌われがちなスライダーがCVRを改善させた
一般的にスライダーは「良くないもの」として扱われます。恐らく
- 見たい時に、見たいものがすぐ見られない
- 読んでいたらスライドして見えなくなってしまった
- 内容の優先順位がわかりづらく、閲覧者が混乱する
などの理由です。しかし、以下事例ではスライダーを頭ごなしにNGにするのではいけないとされています。この例では、スライドさせないために動画にして固定表示にしたのですが、その場合と比べるとスライダーの方がCVRが30%も良くなりました。
動画との比較なので、比較対象が悪いんじゃないかとも考えられます。
なぜなら、動画はある程度相手が心を開いてくれて、そのサイトやサービスに対して時間を割いても良いというマインドになった段階くらいから、ようやく効果を発揮するコンテンツ形態だからです。
この事例で伝えたかったことは「頭ごなしにスライダーを馬鹿にするのではなく、状況によっては優れた選択肢になるんだよ」ということです。
手法から否定するのはNGということですね。
No.2 トラストシールはあればいいというものではない
SSLなどを使っている際のトラストシール、あるいはPマークなども考え方としては個々に含まれるかもしれません。こういったものは、フォームに対する信頼性を上げるものとして表示するのが基本とされています。
それ自体はそのとおりです。しかし、それがユーザーにとって邪魔になってしまっては身も蓋もありません。
以下の画像をご覧ください。
McAfee のサイトシールが大きくショピングカートのチェックアウトボタンの下に出ています。
しかし、出しているバージョンとそうでないバージョンのコンバージョンレートを比べると、出さない方がCVRが1.6%良かったようです。
もちろん、トラストシールなどを貼って改善した事例もあります。ただ、一つ抑えて置かなければいけないなという情報は、これは元記事にある以下の部分です。
But here’s the tricky part: users don’t understand trust seals. In a study, the University of College London found that users have significant misconceptions about the meanings of trust seals.
つまり。ロンドン大学の調査によると、トラストシールの意味を分かっていない・勘違いしている人がとても多いと分かった、ということです。(⇢ まとめた論文はこちらから買えます)
どうしても業界にいると、SSLのシールがあると安全だとみんなわかっていると思ってしまいがちですが、少なくない割合で「なんだこれ?」なケースが多いということです。
だとすれば、目立たせたとしてもなんのメッセージも送れず、しかもフォームなどの邪魔になってしまったり、むしろ不安なイメージを持たせてしまっていればコンバージョンレートが下がるは自然なことです。
お客さんのレベルを見極めた上で、きちんと注釈入りでフォームから少し離れたところなどに設置するなど、相手の気持ちに立った上での設置が必要なのです。
例えば先程の画像で言えば、チェックアウトボタンの周りに必要なのでしょうか?支払情報を入れるタイミングなどならよいのです?
終わりに
今回は2つの例を取り上げました。元記事にはもっとたくさんの事例が乗っているので、先に知りたい方は元記事ご覧ください。
CTAはひとつに絞ったほうが良い、は本当?人気を出すことは必ずよい方向に繋がる?など、とっても興味深いです。既存のノウハウ(主に古いノウハウ)を疑うための頭のリフレッシュにも良いのです。
他の人がやった事例や、事例として紹介されなくても他社が行っていることをリバース・エンジニアリングしていくことは、とても重要です。それは他の人が頑張って時間と費用をかけて実験してくれたことだからです。
それをお互いに探りあいながら、手法や考え方を進化させていく、そんな形で進めていくのがナレッジの蓄積という意味でも、さらなる大きな敵と戦っていくという面でも重要です。
ただその中で、表面的な手法や「これだけやればOK」みたいなものに惑わされるのではなく、奥にある根本的な部分に踏み込んで、自社に適用させることが重要です。
…
何回かに分けて取り上げたいと思います。少し没頭している間に海外の情報も方向性が変わってきていて面白いです。
When Conversion Optimization Best Practices Fail :
http://conversionxl.com/conversion-optimization-best-practices-fail/
Discussion about this post