オンライン上での購買行動は特に昨今大きく変化し続けていると言われます。
確かに実感として、一昔前とは全く違うなと感じます、「ソーシャル」と「モバイル」が大きなトピックスだなという実感です。
では、具体的にどの様に変わっていったのでしょうか。ソーシャルはモバイルは、そしてそれ以外の要因がどの様にどれくらい影響しているのでしょうか。
そこで、オンライン上での購買行動などをリサーチしているPowerReviews社が、2011年と2010年を比較して、消費者の購買行動の変化をレポートをご紹介します。
2011年の調査ですが、変化が分かって興味深いデータですのでご紹介します。
ソーシャルが購買行動に直結していなかったりと、意外性もありました。
レポートはPDFで公開されています。こちらです。
▼The 2011 Social Shopping Study[PDF]
2011 has been a volatile year for ecommerce with a multitude of dynamics in play from social
media and community to mobile.
(2011年は、ソーシャルメディアとモバイルによって、e-Commerceが大きく変化した年である)
という前説から始まっています。 主にこの2点に焦点があたっています。
目次
調査対象について
調査対象は1,004名でデモグラフィックなどは元のPDFに記載されています。
250ドル以上をオンラインショッピングで使っているという人という偏りはありますが、それ以外は、概ね偏りのない分布かなと思います。
調査結果1:オンラインで買い物をする人のほとんどの時間は「調査」に当てられている
このグラフは、オンラインショッピングの中で「調査(Research)」に関する時間がどれだけだったか、という調査結果をまとめたものです。
2011年においては
- 90%以上の時間を「調査」に当てている人が、15%
- 75〜89%の時間を「調査」に当てている人が、35%
- 50〜74%の時間を「調査」に当てている人が、15%
と、合計で7割以上の人が、半分以上の時間を、調査に使っています。2010年と比較すると大きく伸びていることが分かります。
やはり、オンラインで買い物をする人は、オンライン上で情報を集めそして最終的に購買に至るというのが、一般的な流れなようです。
調べない層も一定いる
これだけ見ると、とにかくオンライン上で情報を出せばなんとかなると考えがちですが、グラフの1〜14%のところをごらんください。2010年も2011年も8%で変わっていません。
恐らく、ネットの情報を信じない層が確実に一定量いるのだと思われます。
この情報からは、具体的にどのような層で、さらにどのような商品かなどは分かりません。
しかし、オンライン上の情報をほとんど見ないで、購買だけオンラインで行う層も確実にいるということはきちんと押さえておくべきかと思います。
調査結果2:長く使う商品については、購買までのスパンが「数日」に収束しつつある
テレビやPCなどの長く使っていく商品は、誰しも時間を使ってきちんと調べて購買に至るものと思われます。
そういった商品について、購買までのスパンがどれくらいなのかを2010年と2011年で比較しています。
これを見ると、全体的に「数日(A few days )に収束しつつある様子が見て取れます。
1日以内で決めてしまうような、ある意味せっかちな購買者が30%程度減っています。また、一週間や数週間かける購買者も減っており、そのぶんが数日というところに流れているようです。
※ただこれ、元記事にも記載がないのでわかりませんがもともと2010年は「A few days」という項目はなかったのでは?という疑念もあります。0%というのは考えにくいので。
一ヶ月以上かける人の割合はそれほど変わっていません。
恐らくということになりますが、ネット上の情報が一気に増えてきたことで、短期的スパンでの購買や長期的スパンでの購買が抑制され、数日というあたりに落ち着いてきているのかなと思います。
調査結果3:調査のスタートはやはり検索エンジン
ソーシャルコマースなどが騒がれていますが、やはり検索エンジンから調査をはじめる人が最も多いようです。44%ですね。そして、小売店からが次いで33%です。
肝心のソーシャルはせいぜい3%に過ぎません。
実際SNSから商品情報を探すというのは、想像しても現実的ではない印象です。
調査結果4:SNSはほとんど購買行動に影響していない
では、SNSは実際どれくらい購買行動に影響しているのか?というと、顕在的にはほとんど影響していないようです。
ものを買う時の調査やアイディア収集にソーシャルネットワークを使うかについて
- いつも使っている:6%
- しばしば使う:10%
- たまに使う:13%
- ほとんど使わない:22%
- 全然使わない:49%
とのことです。使わないというディレクションを持った回答が7割を超えています。
ユーザがSNS内で欲しい商品の情報を集めたりすることを、期待しない方がよさそうですね。
Facebookユーザは、欲しいものについての情報を、Facebook内の検索なり友達の繋がりの中で探すのではないか?というのは的外れのようです。
FBに限らず、SNS上では「商品を売るのではなく、商品を売ることを助けてくれる人を作っていく(ファンを作っていく)」という発想がやはり良いのかなと思います。
ブランディングを中心とした、間接効果を狙っていく場です。
調査結果5:レビューとQ&Aなどはやはり強い影響力
では、どんなコンテンツが購買者の行動に影響を与えているかというと、やはりレビューやQ&Aなどのユーザージェネレーテッド系のコンテンツのようです。
順番に
- カスタマーレビュー:59%
- Q&A:42%
- コミュニティ・フォーラム(購入者同士が会話する場所):26%
- ビデオ(ユーザが作ったもの):15%
- Facebookファンページ:13%
- Facebookニュースフィード:13%
- モバイル(独自のアプリなど?):9%
- Twitter(9%)
でした。
Q&Aやコミュニティ・フォーラム(これは価格.comなどがイメージとしては当たるかと思います)もやはり強いですね。検索しても出てくることが多いのでなおさらです。
また、ビデオも増えてきています。オンライン上では分からない実際の質感などを知りたいというニーズがあるのです。
SNS系はやはりあまり影響力はないようです。
調査結果6:Googleショッピングは20〜30%の人に使われている
思ったより使われているなと言う印象です。
- Googleショッピングを価格比較に使っている:31%
- Googleショッピングのプロダクトレビューを参考にしている:29%
- Googleショッピングで自宅に配送してくれる地元の店を探している:22%
最後の項目は、日本では大概どこでも全国配送してくれるのであまり関係ないかなと思います。
私の主観ですが、意外と使われているなという印象です。価格攻勢を仕掛けるならGoogleショッピングに出しておいたほうがよさそうですね。
おわりに
この先もう少し調査結果があるのですが、カスタマーレビューはどこが信頼されているかなど、日本に当てはめても意味のないデータなので省略します。
モバイルの購買行動のデータもありますが、それについては以前にご紹介したこちらの記事の方がオススメです。「【NIelsen調査】スマートフォンユーザとタブレットユーザは似て非なるもの」をごらんください。
全体的を通じて感じたのは、SNSの難しさです。いわゆるF-Commerceみたいなものは、ユーザ心理を考えて行わないと、ほぼほぼ効果がないと考えていいのではないかなと思います。
モバイルに関しては、先ほどの記事をごらん頂きたいですが、外に出た時の情報収集を中心に注目すべきものです。これはとても重要です。
ただ、モバイルについては、あまり複雑な操作は望めないので、フォームの入力などが伴うものはコンバージョンが低くなるので、そこまでを求めると、上手くないです。
PC宛に今見ている情報をメールで送れるようにしたり、あるいは、電話をかけるなどの簡単なアクションをゴールにすることをオススメします。
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