SEOの外部要因として長らく重要視されてきた「バックリンク」そしてその延長線上の「アンカーテキスト(リンクが貼られているテキスト)」は、2013年以降はその重要さを失っていくかもしれません。
その代わりとなるのは「セマンティックウェブにおける関連性(レリバンス、レリバンシー)」かもしれません。
目次
「アンカーテキストの重要性はむしろ弱まっていく」
昨年「SEOmoz」のRand Fishkin氏が行ったホワイトボードフライデーがSEO界隈で話題になりました。
なぜ話題になったかというと
「これからアンカーテキストは、どんどん効果を失っていくのではないか
代わりに”co-citation(コ・サイテーション)”が重要視されていくのではないか」
という問いかけだったからです。
コ・サイテーションは、うまく日本語にできないのでカタカナでいいかなと思います。直訳すると「よく一緒に使われる言葉」でしょうか
これは「アンカーテキスト&リンク」時代の終焉宣告かもしれません。
→Prediction: Anchor Text is Weakening…
And May Be Replaced by Co-Occurrence- Whiteboard Friday
詳しい内容は元の動画やトランスクリプションをご覧頂ければと思います。
「現実として、ターゲットキーワードが入ったアンカーテキストが全然なくても上位表示されている例がある。それはリンクそのもの、アンカーテキストそのものではなく、その周りのテキストやサイトのコンテンツ内容をアンカーテキストよりももっともっと重要視しているからではないのか」ということだと私は解釈しています。
今回、この動画及びそれについて言及されている海外記事を読みながら感じたことを書いてきます。
Googleの順位決定要因を「点」で捉えるのはもう無理ではないか
Googleの順位決定要因を解明する記事はたくさんあります。私も過去記事で紹介しています(例:SEOmoz発表、2011年のGoogle上位表示はここが大事だった)
しかし、要因とされるものは加速度的に増えています。
そして
- 要因は要因同士で複雑な関係性を持たされている
- 要因同士を「ただ足し算」して順位を決めているわけではない
- 要因についての情報はほとんど手に入れることはできない
- 計算式(≒アルゴリズム)は日々変わっている
という状況だと思われます(もちろん推測ですが)。
だとすると感じるのは「順位決定要因」を解きほぐすという発想は、もう捨てたほうがいいのでは?ということです。
いかにして検索エンジンに情報を正しく効率良く伝えるかという面は引き続き大切ですが。
「ドメインの年齢はどうだ」「キーワードの位置や出現率はこうかもしれない」「SNSでのメンションも関係しているかもしれない」「IP分散がどうだ…」こういった個別の議論は無意味になるかもしれません。私は、遠からず「なる」と思います。
なぜなら、「Googleは”ナチュラルさ”をとても大事にしている」からです。
Googleが目指すところは「自然の再現」
バックリンク自作自演SEOの時代、検索結果は、作られた人気や作られた信頼感によってカオス状態でした。
それをGoogleはペンギンアップデート、完全一致ドメイン(EMD)アップデートなどで潰してきました。Googleは「自然な」人気や信頼だけを評価するという方向で、日々進化を続けてきました。
とすると、Googleは「自然」をシミュレーションしようとしている、といえないでしょうか。
複雑な人間社会のさまざまな要素をWEBに当てはめて、本当に信頼できるアルゴリズムを作り上げる。人工知能に向かっていると言えるかもしれません。セマンティックWEBというのはまさにそういう発想なわけです。
昨年の春にも記事を書きました。
▼Googleが目指すはSiriの様な”AI”?今後のSEOはどうあるべき
話を戻してリンクビルディングについて
このような流れを考えると、もはやリンクを「点」で考えるのは「少なくとも効率が良くない」のです。
なぜなら、リンク単体で考えた時
- 1つのリンクは、その周辺のテキストやサイトのテーマなどさまざまな属性や別のエンティティと繋がっており
- 繋がっている別のエンティティもまた、さまざまな属性を内包しており
- また繋がっているということ自体もまた、さまざまな属性を持っている
と、まるで網目のように関係性が構築されていて、一つ一つを独立して扱うのが難しいからです。
例えば、あるサイトからのリンク一本についても、その関係性次第でリンクの価値は一変してしまいます。Googleが持っている “Topical Sensitive Page Rank” や、ランダムサーファーモデル特許など、そのものズバリの特許です。
適切な関係性(リレバンス、リレバンシー)を構築するという考え方
従いまして、リンクを構築するのではなく「レリバンス(relevance)」「レリバンシー(relevancy)」という概念が大事だと思っています。それぞれ「関係性」という意味です(そのまま)。
- WEBの中で着地したい位置を明確にする
- その位置がどんなsemanticsの上に乗っているか把握する
- そこに着地するために必要な周囲との関係性(レリバンス)を構築する
という流れです。
「リレバンス・ビルディング」と読んでもいいかもしれません。
ナレッジグラフという関係性のマップを、Googleは作っているはずです。なぜなら、セマンティックWEBには不可欠なものだからです。
行うべきは、そのマップの中で「最も適切な位置」「ポジショニングしたい位置」に自分のサイトをどうやって近づけるのか、です。リンクを何本何処のサイトから得るという作業ではなく。
Googleプレイス(Google+ローカル)がサイテーションを評価しているように「リンクされている」ということの価値も無くなってくるかもしれません。
そもそもリンクで評価するというのはただの手段に過ぎません。いつ他の軸に取って代わられてもおかしくないのです。
このような状況で、少なくともSEOにリソースが割けない企業が行うべきことは、SEOの最低原則を把握した上で、後は
- 「どうやったら人々に喜ばれるコンテンツを作れるか」
- 「どうやったら検索エンジンから理想的なお客様が来てくれるか」
など、あえて中間をブラックボックス化して考えることです。
終わりに
検索エンジンマーケティングは、どんどんとリアルマーケティングに近づいていますね。O2Oという言葉が陳腐化するレベルまで統合していくのでしょう。本来分けて考える世界ではないので。2013年も、大きな変化が訪れそうですね(しかしほんとに機動力がないとやっていけない業界です…)
日本にナレッジグラフも上陸し、一気にセマンティック化が進んでいます。
表面的な変化以上に、水面下の変化は激しいはずです。
誠実に誠実にやることを、改めておすすめしたいなと思います。
photo by familymwr
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