前回も記事にしましたPinterest。まだまだどのようにビジネスに使えるかは未知数。
そこで今回は、Pinterestのヘビーユーザ15人がどのように、どんなことを、どんな気持ちで使っているかに答えたインタビュー記事をご紹介します。 前回、Pinterestを「ソーシャルネットワーキングサービス」だと考えると方向性を見誤る。これは「ソーシャルブックマーク」そして「ソーシャルコマース」につながるツールだ、という記事を書きました。
しかし、だとすればそんなマイナーなサービスに対して、何故それほどの人気が生まれたのかが問題です。
そして、その点こそがPinterestの有用性を見つけるキモ。 そこに対応した形でマーケティング戦略を行なうことが必要だからです。
今回ご紹介するのは、そのヒントになる記事。
「▼What’s behind the Pinterest craze? 15 super-users share their thoughts」
15人のPinterestヘビーユーザに対してのインタビューです。 読んでみましたが、さすが実際のユーザーの声。
Pinterestがいったいどのようなものなのか、どう対応していけばいいのかが見えてきたように思います。
その中の3人をピックアップして、早速ご紹介します。
1人目:Kary Delaria
http://pinterest.com/karyd/pins/
1.1.なぜPinterestを使っているの?
- 純粋に気晴らしのようなもの。仕事やルーチンワークで疲れたらみる事が多い。
- Pinterestは雑誌をめくっているようなイメージ。もう雑誌は購読してない。
- 食事を作るとき、チャレンジしてみたい服のスタイル、あげたいプレゼント、子供とやる遊び、家の中をもっと使いやすくする方法などの、インスピレーションをもらうことがある
- 自分のクリエティビティや個性を表現できるとてもいい媒体だと思っている
1.2.どのくらいPinterestを使ってる?
場合によるけれど、平均1週間に5時間くらい
1.3.Pinterestは他のソーシャルメディアチャネルとどう違うと思う?
- それほど違いがあるとは思えない
- Pinterestはビジュアルアイテムのソーシャルブックマーク
- 誰かにたくさんREPINされたいとかFollowされたいとか、そういうことは全然気にしない。 個人的な好みを整理できればいい
- Pinterestは気軽に、ブラブラっとやれるサービス
1.4.他のSNSでおしゃべりなどに時間を使いたくない、という声を一般に少なからず聞く。でもPinterestで何時間も過ごすという人もいる。どういうことだと思う?
- Pinterestではおしゃべりをするような機会があまりない。
- Pinterestには生活(ライフスタイル)に紐づいたコンテンツがたっくさんある
- 例えばGoogle+だと、私はたくさんのブログの更新情報やポストを見なくてはいけない。TwitterやFacebookで友達になっている人のね。でもPinterestはとっても静かだよ。
- そもそもそんなに会話がないから、「今日はもうやめよう」という時のプレッシャーがすごく少ない
- コメント欄とか無視しちゃったりしてもいい雰囲気だし
1.5.PinterestはPRやマーケティングツールとしての価値があると思う?もし効果的な使い方を見たことがあったりして知っていたりしたら教えて欲しい
- PRやマーケティングをする価値は…あるんじゃないかと思う
- 例えば最近、ハンドクラフトのジュエリーを作っている会社に、Pinterestでそのデザインをシェアして見たほうがいいとアドバイスした。
- 見た目のインパクトがある商品を扱っている小売なら、それを見たいと思っている”pinner”がたくさんいるはず。
- Pinterestは受身のメディアの印象。企業側がガツガツとPinterest上に画像をアップしてこなくても、いい写真があなたのホームページにあれば誰かが持ってくる。
【まとめ】
Followが何人だとかコメントを返さなければだとか、日本で言うMixi疲れみたいなものが無いというのが、Pinterestの1つの特徴であり、そこが心地よいという意見ですね。
また、生活する上で必要な情報を効率よくまとめられればいい、そのためのネタは誰かがたくさん持ってきてくれる。
そこからインスピレーションを得られるからいい、というのはなるほどなと思いました。
本文中にもありましたが、SBM(ソーシャルブックマーク)にかなり近いですね。
しかも、deliciousなどの従来のSBMと違い「画像」が中心。 百聞は一見にしかず。
必要かそうじゃないかの判断が文章の数十倍も早く行えます。それが今までのSBMと異なる大きなポイントでしょう。
ピンボードの分類も出来ますし、また、画像であるがゆえ一覧性もいいです。
SBMでよくある「あれどこ行ったっけ?」がかなり少ないのです。 そしてこの方も前回の記事と同様に「きれいなビジュアルを持った商品を扱っているなら、それをアップ(PINIT)することがで、マーケティング効果はあると思う、と感じています。
2人目.Mariam Shahab
http://pinterest.com/mshahab/pins/
1.1.なぜPinterestを使っているの?
- 好みのものを探して整理しておくため。
- ウィンドウショッピングをするように、パラパラ見ているのが楽しい
1.2.どのくらいPinterestを使ってる?
少なくとも…1日1時間は使っているわね。合計で。GmailやTwitter、Facebookの隣のタブにおいて、気晴らしの時に見ている。(PC経由ですね)
1.3.Pinterestは他のソーシャルメディアチャネルとどう違うと思う?
- Pinterestは興味のあることをフィルタリングするのが、TwitterやFacebookに比べてすごく簡単
- Twitterではリストとかあるけど、人がいつも同じトピックスについてしか話すわけじゃない
- Pinterestなら、そのユーザのあるPinboardsをFollowしておけば、その人のその分野だけをチェックすることができる
1.4.他のSNSでおしゃべりなどに時間を使いたくない、という声を一般に少なからず聞く。でもPinterestで何時間も過ごすという人もいる。どういうことだと思う?
- Pinterestは簡単につかえるし直感的に使える。
- Pinterestはアクティブに動き回るようなサービスじゃない。
- PINしたものにコメントが付いても、他のSNSのようにすぐにコメントを返したりはしない
1.5.PinterestはPRやマーケティングツールとしての価値があると思う?もし効果的な使い方を見たことがあったりして知っていたりしたら教えて欲しい
- これは大規模なPRやマーケティングに十分使えると思う
- 例えばアパレルブランドなら書く商品のページに「PinIt」ボタンを付けて、Pinterestにコンテンツを流すことが効果的だと思う。また、Timesや後はこの間Mashableの人とも話したけれど、そういった文字情報に溢れているサイトが使うのも有効だと思う。(Times)
【まとめ】
今回気になったのは「フィルタリングしやすい」ということでした。
Twitterでもグループをわけたりすることである程度のフィルタリングはできるのですが、それでも一番小さい単位が人間なので限界がある。
でも、Pinterestはその人間の中の興味まで分類できるので、そこの粒度でフォローすれば、自分の欲しいものだけが手に入る、という考え方です。
なるほど、確かにそうですね。しかしそう考えると、SNSの爆発的な普及によって情報が溢れている、そしてそれを人々は持て余してる、というよくある論説は的を射ているのではないかと思います。
また、もう1つ印象的だったのが、ビジュアル的にアピールできる商品についてはもちろんのこと、TimesやMashableといったようなニュースサイトも、画像を切り口とした見せ方をすることで、ストレスなく情報を分類して提示できるんじゃないかということ。
これは、実際にTimesのアカウントを見ても確かにそう感じました。 言ってみれば、
ホームページのコンテンツをニッセンなどのカタログのようにしてしまおう
という考え方です。 これは、百聞は一見にしかずという資格情報を最大限に利用した、効率的なコンテンツの投げかけた方なのかもしれませんね。
ちなみにTimesアカウントを動画で取りました、ぜひご覧ください。
これは非常に面白いなと思いました。私もやってみます。
3人目.Mikinzie Stuart
http://pinterest.com/mikinziestuart/pins/
1.1.なぜPinterestを使っているの?
- 興味のあるものをキュレートするのに使っているわ。洋服だったり、美容に関するTIPSだったり、DIYについてだったり、やってみたいレシピとか。猫のおもちゃにも興味ある。
1.2.どのくらいPinterestを使ってる?
日によって違う。Twitterみたいにやらないと「失う」ものもないから…。 どれくらい忙しいかによるけど、毎日多くて1.5時間、少なければやらないわ。1週間だと3〜7時間ね。
1.3.Pinterestは他のソーシャルメディアチャネルとどう違うと思う?
- そもそも別のものだと思う。
- Pinterestを特に「ソーシャルだな」と感じたことはないわ
- ソーシャルであることはあるんだろうけれど、FacebookやTwitterのようなものとは違う
1.4.他のSNSでおしゃべりなどに時間を使いたくない、という声を一般に少なからず聞く。でもPinterestで何時間も過ごすという人もいる。どういうことだと思う?
- 繰り返しになるけれどTwitterやFacebookなどとは別のものだと思うの。「他のSNS」と比較するのは間違ってる。TwitterやFacebookに対するGoogle+、といった位置づけのものじゃない。
- Pinterestは、クリエイティビティや見た目中心!という気持ちでアイディアを集めて整理していくところ。
1.5.PinterestはPRやマーケティングツールとしての価値があると思う?もし効果的な使い方を見たことがあったりして知っていたりしたら教えて欲しい
- マーケティングツールとしての価値は十分あると思う。クライアントに対してブレインストーミングするのに使ったりしてるわ
【まとめ】
ちょっと毛色の違う方でしたが、明確にTwitterやFacebookとは違うということを強調していました。 やはり「画像中心であること」「人とのコミニュケーションに気を遣わないでいいこと」が大きく、そして「ビジュアルスクラップブッキング」がPinterestを最もよく示している、というのが彼女の意見でした。
全体を通じて〜結論
総じて以下のような感想でした。
- 純粋に気晴らしやウィンドウショッピング、雑誌のカタログのような感覚で使っている
- なんとなくやってくるものを捕まえるという、受動的なサービス。
- 自分からコミュニケーションを取っていくとかそういうものではない
- TiwtterやFacebook,Google+などのように、頻繁に見たりコミニュケーションを取る必要がない
- ビジュアルアイテムのソーシャルブックマークだろう
- 興味のあることをフィルタリングするのが、TwitterやFacebookに比べてすごく簡単
- 見た目のインパクトがある商品を扱っている小売ならぜひ使うべき
- 商品を扱っていなくとも、ニュースサイトなどが情報を整理するのにも向いているのでは
この3人の意見を総称すると、SNSの情報量と付き合いにつかれた人がたくさんいる所に、画像というキャッチーで面白いものを中心としたサービスが飛び込んできて、それがウィンドウショッピングなどの好きな女性を中心に流行りだし、加速していったというのが実態かもしれません。
また、今までめんどくさそうでSNSをやっていなかった人も取り込んでいるのかもしれません(推測です) …
これに対して、ではどのようにマーケティングを展開していくか。
まず最低限押さえるべきは
- そもそも日本でpinterestがブレイクしないといけない、そしてローカライズされないといけない(※大前提)
- 人目を引くきれいな画像を見せられる業種であるかどうか
- 売り込みをしないこと、自然とREPINしてもらえるようにできるかどうか
- 物販なら簡単にPINを立ててもらえるようにボタンを商品ごとに設置すること
です。
特に最初の1つ。これが無いと始まりませんので、日本での動きに注目です。
IT業界で話題にはなっているので、Googleアラートで「Pinterest」をキーワードにしてメールで新着ニュースのサマリを送ってもらってチェックするのがいいかと思います。
そして、仮に流行ったとしたら、次は画像です。 アパレルや小売だけかというとそうでもありません。
実際レシピやDIY、家の中のプチリフォームのアイディアとして使っているという方がずいぶん多いです。
要は、見た時に、素敵!と思ってもらえるような写真を用意できるものならいいんです。
リフォームだったら、リフォーム後のお風呂の写真を載せるのもありでしょうし、造園だったらサンプルの画像を載せるのでもいいでしょう。
見る人の感情を動かせるようなものに画像として消化できるのなら、それでいいと思います。
そう考えると、小売以外でも通用すると思います。
また、こういった受動的メディアなので、この空気を乱すような売り込みはNGでしょう。
まったりとインバウンドマーケティングをするようなイメージがいいのではないかと思います。
… Pinterestの活用イメージが、実際の利用者の声を通じて少しづつ見えてきました。
もしこれが日本でもどこかと組んで大ブレイクすれば、売り場の概念に少なくない変化が訪れるのではないかと思います。
個人的には、爆発してほしいです。 埋もれてしまっている素晴らしい物が、日本はもちろん世界中にはたくさん眠っていると思うからです。
しばらくPinterest及び似たようなサービスは追い続けていきたいと思います。
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