それ自体は単なるデータでしかないアクセス解析ツールの数字に意味を与える作業というのは、なかなかにデリケートで気を使います。
なぜなら、意図せずしてデータを歪めてしまったり、都合がいいようにデータを解釈してしまいがちだからです。
相手が生身の人間であったり現実世界の何かなら、五感で自らのズレに気づけたりもしますが、アクセス解析はモニタに表示される数字とのにらみ合いになることが多いため、恣意的な解釈をしていることに気づきづらいということも、あるのではと思います。
これを防ぐという観点で、一つ印象的なイラストがありましたのでご紹介します。
TEDカンファレンス創立者のリチャード・ソール・ワーマン氏の言葉
「Ignoring Information Is Not Always Bad | Online Behavior」からイラストをご紹介します。
こちらのイラストです。
ここにはこう書かれています。
Some professionals will do everything to take advantage of a piece of information in their hands, even without fully understanding what it means. However, as Richard Saul Wurman wrote: “You will always do better if you ignore the information you don’t understand than if you try to act based on it.”
その情報自体についてそこまできちんと理解していないのに、手に入れた情報をそのカケラまでとにかく全てを活用しようとするプロフェッショナルがいる。しかしながら、(TEDカンファレンスを創立し、情報デザインや情報アーキテクチャの先駆者である)リチャード・ソール・ワーマンはこう書き残している。「しっかり理解していない情報に基いて行動するくらいなら、その情報を無視したほうがよっぽどいい」
前回のメールマガジンでも書きましたが、アクセス解析はきちんと設計した上で数値を取らないと、なかなか有意な値を得ることはできません。
なんの設計もせず取得してデータとにらめっこしても、なかなか思ったような答えが出ないことのほうが多いと思います。
しかし、どうしても現場では「何か答えを出す」「何か次の施策を打ち出す」ことを目標にしてしまいがちです。
そうすると、いかに今目の前にある数字から、アイディアをひねり出すかという思考回路になってしまいます。
するとその結果「仮説にもならないような、ふわふわした根拠による施策」や「どちらとも言えないことを無理やり、どちらかの答えの方向に持っていった結果の施策」あるいは、悪くなると「自分に都合の良い数字だけを集めて作った仮説による次の策」「有意な数字と言えるほどの母集団が取れていないのに、先走って良し悪しを判断してしまう」などが発生します。
このイラストは、それへの戒めかなと感じました。
少ないおかずをさらに少なくすることは、確かにつらいことかもしれませんが
- 「意味のない数字」「扱い方によってどうにでもなる数字」は潔く捨てて、その結果でまずは判断すること。
- 「分からない」ことは「分からない」という結論とし、無理やりなにかの答えを出そうとしないこと
これがとても大切なのではないかと思います。
切羽詰まっている時は視野が狭くなり、意図せずともこのようなことを起こしてしまいがちです。
私自身も常に戒めないとなと改めて思いました。
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しかしこういうインフォグラフィック的なイラストも、コンテンツとして面白いですね。元記事からいろいろたどれますので、ぜひご覧ください。
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