
多くのサイトで触れられている話では有りますが、Google検索経由のユーザが、どのようなキーワードで検索してあなたのサイトにやってきたのか、その情報が全く分からなくなる日が近づいています。
これはアクセス解析ツール全てでそうなります。なぜなら、Google自体がキーワードの情報を送らなくなってしまうからです
GoogleAnalyticsならOKというわけでも、GoogleAnalyticsのプレミアム版ならOKということでも、ないです。
詳細は以下の記事をご覧ください。
「【背景】Googleの完全SSL化でキーワードが全部(not provided)になると何が問題なのか? – WEB戦略ラウンドナップ」
どのように影響してくるかというと、
例えばGoogle Analyticsなら以下の「(not Provided)」がどんどん増えていくんです。※前からいっぱいありましたが。
目次
これはやはり大きな問題
これは、なかなかに由々しき問題です。
では、何が問題なのか。
たくさんあるといえばあるのですが今回は2点について、個人的に「これが嫌だな」と思うところを書いていきたいと思います。
Googleからきちんとキーワードデータが取れた時代と、取れなくなる時代を比較しています(そういう意味で言うと、今と数カ月後の比較ではなく、数年前と数カ月後の比較です)
※余談:Yahoo!の情報は貴重
今はまだYahoo!検索経由のキーワードが取れているのでいいのですが、もしYahoo!も完全にSSL化してしまったら、ほぼすべてのキーワード情報が取得できなくなってしまいます。
というわけで、Yahoo!経由の情報は貴重です。
Google Analyticsのソリューションギャラリーに、Yahoo!検索キーワード一覧のカスタムレポートを、簡易的なものですがアップしておきましたので、よろしければお使いください。
キーワード情報が取れないと困るのはなぜ?
なぜ検索キーワード情報が取れなくなると困るのか。
これは解析をする方によって様々かと思いますが、私の場合は兎角「検索エンジン経由のアクセスについて、問題発見がしづらくなる、現実的に難しくなる」という点が大きいです。
具体的には以下の2点
- アクセス者のフィルタリングがしづらくなる
- お客さんのニーズに合わせた改善がしづらくなる
です。
A.アクセス者のフィルタリングがしづらくなる
多くの流入キーワードは「予想外」
大概のサイトにおいて結構有るのが、予想外な流入キーワードです。
メインキーワードとして打ち出しているキーワード群以外のキーワードでの流入が、結構あるんですね。
それが大した量でなければいいのですが、時として半分以上がそういった「予想外」しかも「お客さんにならない」キーワードだったりします。(そういうこともあるので、キーワードレポートはぜひチョコチョコとチェックしていただきたいです)
…
例えば、プラモデル専門店のサイトだったとして、流入キーワードが
- 「プラモデル + α」のようなターゲットキーワードからの流入が、全体の20%
- 「羽 折れた 修理」のような、目的不明なキーワードからの流入が、残りの80%
なんていうことが、あります。
例えばブログなどをコンテンツ戦略の一環としてやっていると、起きがちです。何となく作った記事が、妙にニッチな所にハマってしまうパターンです。
「ランキング」「ベスト5」みたいなキーワードで記事を書くと起きやすいです(このブログもWEBマーケティングなどのブログなのですが、例えば「カフェイン 紅茶 抜く + α」みたいなキーワードで結構流入が有ります、だいぶ減りましたが…)
本当は「お客さんになる人」だけ解析したい
こういうキーワードは、お客さんにならないですし、分析したところで時間に見合った何かが得られる可能性も低いです。
少なくとも「イシュー」ではない。(イシューについては、「イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」 安宅和人」という個人的に解析に携わる方には超オススメの本がありますので、ぜひ)
やはり、潜在客以上の方に絞り込みたいです。
お客さんにならない人も含めると、数字の精度が大きく下がる
また、更に悩ましいのは、さきほどの例の場合、サイト全体の直帰率や平均滞在時間、平均ページビューなどの変化を追いづらくなります。なぜなら、ほとんどが言ってみれば「ノイズ」なので、サイトの改善を行っても変化がわかりづらくってしまうんです。
トップページがノイズだらけの状況になっていると悲惨です。トップページを改修して、本当は意味があったにもかかわらず、大きく数字が改善しない、統計的に意味があるかどうか分からない、ということが起きてしまいます。
お客さんになる人が20%、彼らに対しては、直帰率が仮に15%改善できていたとしても、残りの80%、彼らにとっては改善なんて関係ないですので、改善の効果が現れない。
そうすると理論的には
「0.2 × 1.15 + 0.8 × 1.0 = 1.03」
で、全体としては3%の改善ということに数字上は見えてしまいます。
ノイズが全体の8割ということを把握できていればいいですが、そうでなければ「なんだ、意味があんまりなかったな」で終わってしまうかもしれません。
…
このような状況を避ける事が、キーワード情報があればある程度できたんですね。フィルタリングができました。
従いまして、先ほどのプラモデル店の場合はキーワードでフィルターをして、目的不明なキーワード経由でのアクセスは除外して解析を見てもらっていました。
それが、どんどん出来なくなる、これは辛いです。
もちろん今までもGoogleメインのサイトではできづらくなっていたのですが、やはり将来的に100%になるというのは、辛いです。
B.お客さんのニーズに合わせた改善が難しくなる
もう1つ大きいなと思うのは、お客さんのニーズに合わせた改善がしづらくなるということです。
これが1番大事かもしれません。
あるページに対して、アクセスしてきたキーワードがわかった時代は、そのキーワードごとにパフォーマンスを出して、どのキーワードが問題かというのを、切り分けることができました。
ちょっとサンプルがあれですが、これはキーワードごとのパフォーマンスです。
これを見ると、上から三番目と四番目のキーワードがだめだなぁ、そこのニーズに応えるために
- そのキーワードで別のページを上位表示させられるように内部要因を改善しよう
- そのキーワードで検索してきたユーザにも満足してもらえるように、ページを改善しよう
などの施策がうてました。
それが、以下の情報しかわからなくなると、かなり問題発見が難しくなりますよね。
これも悩ましいなと思います。
相手に合わせてOne2Oneの対応ができるホームページにするのがベスト、だとすると、相手から情報が得られない状況というのは、辛いところです。
では、どうしたらいいのか?
とはいっても、対応していかなければなりません。
Aについて
しかし、「A」として書いたフィルタリングの部分は、これはもうあきらめるしかないかなと思います。
出来るとすれば、そのキーワードでそもそも上位表示させない、という対応です。Google的にも、その方がうれしいのかもしれません。
Bについて
後半の「B」については
テクニカルな部分は先日の「【背景】Googleの完全SSL化でキーワードが全部(not provided)になると何が問題なのか? – WEB戦略ラウンドナップ」を御覧ください。ウェブマスターツールとGoogleAnalyticsのランディングページのデータを突き合わせて、推測する方法です。
とは言え、これは手間がかかります。
私達のような職業なら、いいのですが、他の業務と兼業でやられている方にとっては「こんなことしてられないよ」というところではと思います。
Bについては、割りきって、以下の2つを行う
とすると、やはり割り切りは必要です。
具体的には
- ウェブマスターツールでで「平均掲載順位が高いのにCTRが低いキーワード」をひたすらに潰す
- そのページで上位表示しているページをGoogleAnalyticsを見ながら、「直帰率」に焦点を当てて改善する
くらいが、いいのではないかと思います。
ウェブマスターツールでは、そのキーワードで上位表示しているページも出てきます。
検索クエリのところから、クエリに貼られているリンクをクリックすると出てきます。
ただ、直帰率等のデータはGoogleAnalyticsでみないとわからないので、併用はやはり必要です。
…
終わりに
考えていて、あれもこれも浮かんできてしまったのですが、まずはこの2つがポイントかなと思います。
将来、こうなることは分かっていたので、ウェブマスターツールメインで解析できるようにしていたつもりですが、いざこうなってみると慌てますね。一般のお客さんはなおさらです。
今までのようにできないことは確定しています。頭を切り替えて、これからのオーガニック解析を考えていくことが必要ですね。
この記事がご参考になれば幸いです。
photo by Mike baird
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