ネガティブSEOについては、記事にしようかいつも悩みます。いろいろな意見がある所なので、中庸になるように書くために気を遣います。話題にされづらいトピックスかつ、確固たる情報や事例があまりないのでふわっとした話になってしまいます。
とは言え、それが実害があるにせよないにせよ、潜在的脅威として存在する以上は情報自体は仕入れておいたほうがいいと思います。なので今回は、NegativeSEOに関して、まとまった記事を1つご紹介します。
起業家かつマーケターでCrazyEggなどの共同創業者であり、ForbesのTOP10オンラインマーケターにも選ばれているNeil Patel氏のブログからです。
「The Beginner’s Guide to Monitoring, Fighting and Preventing Negative SEO」という記事、NegativeSEOを監視・戦い・防ぐためのビギナーズガイドとのことです。ビギナーズガイドにしては濃い内容となっています。
目次
ネガティブSEOとは?(NegativeSEOとは?)
まずこの言葉の定義をしっかりさせておきます。
ReverseSEO(逆SEO)と混同されることが多いです。
記事内で参照リンクとしてあげられているMozでのMarieHayne氏の言葉によると(→詳細はこちら)
ネガティブSEOは
「誰かが、あるサイトの検索エンジンにおけるランキングを意図的に下げようとする試みのこと。様々な手法が用いられる。最も一般的なタイプのネガティブSEOは。リンクを用いたNegativeSEOだ。しかしそれ以外にもさまざまなテクニックが存在する。」
という定義です。
いわゆる「低品質なリンクを大量につけて、意図的に相手に不自然なリンクのペナルティを課そうとする」手法が最も一般的ですが、それ以外にも意図的に他のサイトのランキングを下げようとする行為全般がNegativeSEOだといえます。
他の手法とは例えば知られているのは、スパム判定を受けた際からの301リダイレクトにスパム攻撃などでしょうか。詳細は書きませんが、様々な手段が行われています(ちなみに元記事にもつっこんだ詳細はありません)
※リバースSEOは、あるキーワードについて、ターゲットサイトを蹴落とすために多数のサイトを上位表示させるという力技です。
ネガティブSEOはいつから行われている?
厳密には分かりません。ただ、昔は今で言うブラックハット的な手法が「問題ない当たり前」の時代がありましたので、そもそも敵に塩を送るようなことはしなかったのではないかと思います。
実際、NegativeSEOという言葉が人々の間で話題になり始めたのは2012年4月以降、つまりは初回のペンギン・アップデート後からです。
以下は先ほどのMarieHayne氏のMozの記事にあるGoogleトレンドのデータを引用します。
うちで最初に記事にしたのも2012年4月でした。
→【事例あり】”NegativeSEO(ネガティブSEO)”とは何か?そして効果は? :
https://strategy.roundup-consulting.jp/mt/archives/2012/04/negativeseo/
これを見ると、ペンギン・アップデート直後から検索回数が一気に増えています。
これをもってしてネガティブSEOが行われた時期といえるものではありませんが、この辺りに1つ大きなターニングポイントはあったのではないかと思います。
同年2012年10月にリンク否認ツール(DisavowTool)がGoogleから発表されたのも、実態と何か関係があるかもしれません。
今やこんなサービス提供が行われている
基本的に、明らかに人為的におかしい大量のリンクが貼られているケースでなければ、リンク否認ツールを使う必要はないと考えていいです。
ただ、今やこういったサービスがたくさんあります。以下は元記事の画像の引用です。
日本ではこういった堂々とした場でのセールスはありませんが、海外ではマーケットプレイスなどの個人対個人的な取引ができる場所で、安値でこういったサービスを手供しているケースが散見されます。
また、NegativeSEOと書いていなくとも、いかにも怪しい大量リンクを付けるサービスを行っていて「ペナルティになるかもしれないから気をつけてね」と書いてあるような、遠回しのケースも有ります(本当にそう思って注釈を入れているのかもしれませんが」
この画像では50万本のリンクを5ドルで提供すると書かれています。
そういった系のツールを使ってスパムをするのです。ボタンひと押しで5ドルもらえるなら、特に物価が安い地域では美味しい商売です。
ネガティブSEOで使われる手法
手法と言っても、いわゆるブラックなものをGoogleに分かりやすくぶつけるというのが基本的なやり方です。
元記事から引用すると、具体的には以下の様なリンク構築が行われているケース
- アンカーテキストがキーワードマッチしすぎている
- リンク元サイトの品質が低い
- 好ましくないタイプのリンク(有料リンクなど)※そういう判定がなされているであろうサイトからという意味かと思います
- リンク本数が短期間に急上昇している
- それ以外の不自然なパターン
元記事にはあえてテスト行った事例も掲載されていて、それは3位から14位にダウンしたそうです(なんともいえませんが)
そのテストでは
- 7,000のフォーラム
- 45,000のブログコメント
- 4000のサイドバーリンク
をもともとSEO的に問題のなかったサイトにぶつけたところ、以下の様な順位変化が起きました。
混乱に乗じて良いリンクを外させることも
更に、ターゲットが「うちはネガティブSEOを受けている」ないし「何だか急に順位が落ちた」と感じていると思われる時期に、第三者を装ってそのホームページ管理者に対して「○○○というサイトからのリンクは悪いものだから外したほうがよいですよ」というメールを送るケースもあると。
この場合、当然○○○というサイトは「優良なバックリンク」です。それを混乱に乗じて外させようとするわけです。
…
それ以外にも手法としてはいろいろあります。
ある種突っ込んだやりかたとして、相手サイトのrobots.txtを書き換えるかマルウェアを感染させて、好き放題やるというケースも。ここまで行くと、もはや別の案件かもしれません。
ただ、特にWordPressなどはこの辺りの被害が少なくないので、セキュリティ系のプラグインを入れておくことは必須です。
マルウェアに感染した可能性が高い場合は、SearchConsoleに登録しているサイトなら、Googleが以下のメールアドレスに通知を送ってくれます。
- abuse@
- admin@
- administrator@
- contact@
- info@
- postmaster@
- support@
- webmaster@
サイトを関しているなら「SeachConsoleに登録」し「上記のアドレスを取得して、通知を受け取れるようにしておく」事が重要ですね。
関連ヘルプ → マルウェアとは – Search Console ヘルプ : https://support.google.com/webmasters/answer/163633?hl=ja
ちなみにマルウェアに感染すると以下の様なメールが送られてくるようです(元記事より引用、文字が小さいですが…日本の場合日本語で来るのですかね)
また、301リダイレクトを使ったものもあります。この辺りはGoogleは理論的に難しい部分だとしていて、悩ましいのかなと思います。あっちが立てばこっちが立たずの状況です。
対処としては…?
悪質なリンクなら検知できるので、比較的対処はしやすいです。とは言えリンク否認ツールは最終手段ですので
- サイト管理者に連絡してリンクを外してもらう
- 悪質な場合はホスティング会社に連絡して対応を請う
- リンク否認ツールを使う
という順番が、本来はよいですね。
とは言え、海外からのバックリンクであったり、ホスティング会社がそのサイトを明らかに悪質だと判断できない場合(適当に作られたバックリンクサイトなどでも、リンク一本のために凍結などは出来ないと思いますので)がほとんどですので、実質否認ツール頼りになってしまうかと思います。
バックリンクについては、定期的に差分を取って把握する体制をおすすめしたいです。
元記事にもAhrefsのNew/Lost機能が紹介されていますが、私もサードパーティ製のツールとしてはAhrefsをお勧めしたいです。
MozやMajesticsSEOは日本語化されていませんが、Ahrefsはフルスピード社が日本に持ってきたので日本語化されています。(上の画像は元記事のものなので英語です)
また、3年近く前の調査ですがAhrefsが最もバランスが取れていたので、私はそれから使い続けています。
→ 【決定版】SEOmoz(OSE)&Ahrefs&MajesticSEO…SEO調査ツール大比較 – Web戦略ラウンドナップ :
https://strategy.roundup-consulting.jp/strategy/backlink-tool-gosanke/
終わりに
どこまでGoogleがやれているのか定かではありませんし、あまりレポートの上がってこない分野ではありますが、Googleに頼らずできるところは自前で対処していく覚悟が必要かなと思います。
とは言え、SEOについての一定のスキルがないと怖い部分はあります。特にリンク否認ツールは劇薬です。
SEOの基本的知識と情報収集はウェブに関わる人の基本スキルにすべきだといわれれば、たしかにそうなのですが現実問題として、難しいです。
日本にはたくさんホームページというより「ホームページ」があり、専任ではない人が空いた時間で一生懸命回しているケースも少なくありません。そこにSEOという泥沼の世界の知識を求めるのは酷です。
とは言え放置していいことでもないので、どうしたものかなと思うところです。
うちも月1.5万円のチケット型遠隔コンサルサービスを追加したことで、以前よりはたくさんの方々をサポートできるようにはなったのですが、とは言え日本全国の企業の数を考えると、微々たるものです。
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ウェブコンサルでも担当者でもスペシャリストでもなんでもいいので、税理士さん等と同じように企業に何らかの形で1人は関わっている時代が来るようにしていければと考えるところです。
攻めは随時専門家とやっていけばいいと思うのですが、守りの最低ラインくらいはキープしておきたいですよね。
ネガティブSEOの話題は、いろいろ難しい部分も多いので、元記事の一部の紹介にとどめています。ご興味がある方は元記事とそのリンク先を一通りご覧頂ければと思います。
この記事がきっかけになれば幸いです。
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