Facebookの大きな収益源の1つが「広告」です。
昨年の新規株式公開時の資料によると、2011年度について42億ドルの売上げのうち広告収入が85%を占めています。
広告モデルという形が良いかどうかはさておき、この数字はまだまだ伸びるはずです。なぜなら、まだモバイル端末に対してはほとんど広告を出せていないためです。
ではなぜまだ出せていないのでしょうか。
これは出稿する側、特にローカルビジネスにとっては、とても気になるところですね。
この理由は1点につきるようです。それは
「ユーザの使いやすさ」と「広告の効果」をうまく両立させる形がまだ見つかっていない
ということ。
そこで今回は、EyeTrackShopによるFacebookのアイトラッキング分析をもとにした、なぜうまく両立できていないか?についてです。
今後、スマートフォン向けの広告が始まったとき、このあたりの経緯を知っていると、効果的な広告を出す一助になるのです。
目次
前提:Facebookの売上げに占める広告収入の割合
これは2011年のIPO時の資料です。「SplatF」の記事を参照しています。
「How Does Facebook Make Money? – SplatF」
2011年度の売上げ約42億ドルのうち85%が「Advertising(広告)」です。
このままの収益モデルで行けば、Facebookはもっともっと広告を出してもらう方向に進むはずです。
しかし、今までのFacebook広告とは違う「スポンサー広告」が始まったときに、
「これでは通常の投稿と区別が付かない、ステルスマーケティングみたいで気持ち悪い」
と反発が大きかったように、Facebookユーザは広告と非広告のはざまが不明瞭になることを、かなり嫌がっています。
SNSというサービス上、当然の心理かなという印象です。
しかし、かと言って広告を諦めるわけにはいかないのも当然ですね。
スマートフォンとPCでのアイトラッキング分析による違い
PCとスマートフォンの、ユーザインターフェイスにおける大きな違いは、
- スマートフォン(そしてタブレットも)のUIは、上から下に1段組の構成になっている
- PCは、メニュー、ニュースフィード、広告など、アクティビティの4段組になっている
という点です。
実際、視線の動きを見ると、きっちり4つに分かれていることが分かります。
画像を「Report: Facebook Mobile Ads Only Seen By 3%-13% Of Users – AllFacebook」から転載します。
これを見ると
- iPhoneもiPadも、画面やや右側を下に読み進める目の動きをしている
- WEB(PC)は、それぞれの4段組全て上から見ている
ということが分かります。
WEB(PC)は、エリアがきれいに4つに分かれ、しかも間にほぼ見られていない「スキマ」があることから、
ユーザの意識としても全体を無意識に4エリアに分けて見ていることが想像できるかな、と思います。
また、視線の移動順番についても、同様に画像を引用しますね。
左から、WEB(PC)、iPad、iPhoneの順番に並んでいます。
そして番号が視線の移動順番です。
これを見るとやはり、モバイルは上から下に順番に見られていることが分かります。
ただ、iPadはちょっと最初にリバースするみたいですね。これが、画面上端と端末の上端のスペースの差なのか、それ以外の要因なのかは、興味深いですがこれだけでは分かりませんね。
PCは派手に動いています。
- まずニュースフィードの一番上が目に入り
- 右側の「知り合いかも?」や「スポンサー広告(○○さんが××にいいね!と言っています)」を見て
- ニュースフィードの下に戻り
- 一番右の友達のアクティビティを見て
- 最上部のヘッダー部分を見て(通知のカウントなどを見ているのでしょうか)
- 左側のメニューを見て(グループなどに投稿がないか、あるいは管理しているFBページ?)
というところまでが、一区切りです。
そして、スクロールして、下に順番にニュースフィードを見ていきます。
Facebookでもやはりファーストビューが大切
PCを見ると、やはりファーストビューが大切だと分かります。まずはファーストビュー(Above The Fold)の中のものを見回して、その後スクロールするという流れがあります。
ここから考えると、やはりモバイルもファーストビューが大切だと考えるのが、自然ですよね。スクロールしやすいとはいえ、ファーストビューに入る入らないでは大きな差がありそうです。
ファーストビューに入らないと3%〜13%の人しか見てくれない
先ほどのallFacebookの記事によると
it found that users with iPhones (and, by extension, other smartphones) were the least likely to see ads on Facebook, with only a 3 percent to 13 percent chance of being seen if they were located “below the fold.”
(EyeTrackShopのテスト結果によると、 iPhoneやその他のスマートフォンでFacebookを見ている人が、AboveTheFold(ファーストビュー)にない広告(スポンサー記事のことです)を見る確率は3%〜13%しかない)
という結果だったようです。
この結果を考えると、スマートフォンユーザに対しても、広告はなるべく上部に表示しないと、広告主てきには嬉しくない状態になりそうです。
しかしユーザは嫌がる可能性が高い
とは言え、広告がどがんと上に出てくることをユーザが好むとは思えません、また、だからといって通常の投稿に紛れてでるようなスポンサー記事が万円して欲しいとも思わないでしょう。
落としどころがどこになるかは分かりません。
しかし、ユーザ側としても広告主側としてもここは引き続き動向を注目すべきかと思います。
また進展があれば記事を書いていきます。この記事がご参考になれば幸いです。
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