日本だけではなく、先進国全体として市場がシュリンクしています。
そこで、過去多く行われていたような刈り取り型マーケティングスタイルではなく、マーケットを育成しながらその中でお客さんを獲得していく、農耕型とも言えるマーケティング手法が求められ、追求されています。
その中で導き出された来た手法のうちの一つであり、最も注目されている概念が「インバウンド・マーケティング」
海外でも「inbound marketing」という言葉は注目を集めています。
下のグラフはGoogleTrendによる検索数の変化。「content marketing(コンテンツマーケティング)」の後を追うように検索数が増えていますね。
Search MarketingやMail Marketing と比べると少ないですが、順調に検索数が伸びているのが分かります。
目次
1.そもそもインバウンド・マーケティングとは?
このように注目されているインバウンド・マーケティングですが、お客さまからも、そもそもどういう手法なのか分かりづらいという声を少なからず聞きます。
しかしそもそも、これはあくまで手法。なにか、明確な正解があるわけではないと考えるべきです。
とは言え、共通項としてどんなものなのかを押さえておくことは大切ですよね。
そこで今回は、海外のオンラインマーケティング情報サイトとして有名なSEOmozから、インバウンド・マーケティングのイメージを分かりやすくまとめているインフォグラフィックスの記事をご紹介します。
▼The Anatomy of Tomorrow’s Inbound Marketing Strategy Today | SEOmoz
大枠のイメージをつかんで頂ければ幸いです。
4ステップマーケティングの延長と考えると分かりやすいのでは
SEOmozの記事とインフォグラフィックスでも語られていることですが
共通項をまとめると
- お客さんから「見つけてもらう」ことにより、最初の接点を確保する
- 薄い見込み客を、初回客に結びつけるための「見込み客育成(リードナーチャリング)を、さまざまなコンテンツを中心に行なっていく
- セールスの段階では、お客さんはほとんど「決めている」状態まで持っていくのが目標
という、【集客】→【見込客育成】→【販売】→【顧客化】の「4ステップマーケティング」をベースに、集客を徹底的に”インバウンド”にしたもの、というイメージがいいのではないかと思います。
2.まずはインフォグラフィックスをご覧ください
インフォグラフィックスは以下です。
引用もとはSEOmozのYouMoz。画像は元記事からの転載ですので、引用する際は元記事からお願いいたします。
3.大枠のステップ
インバウンド・マーケティングの大枠のステップは5つに分かれると述べられています。
簡単にまとめると
- インバウンドでの集客
- サイトを始めとした場所にある反応装置やランディングページによる、リスト獲得(接点確保)
- 2で獲得した見込み客に対してのフォローによる、濃い見込み客への育成プロセス(WEBコンテンツ中心※関連記事)
- 見込み客が買いたい気持ちになった時、セールスをする
- 1〜4が回るロジックを維持する
より具体的には、
- オウンドメディア(自社・自前メディア)とアーンドメディア(広告など)からの集客
- CallToActionやランディングページによる、接点の確保、見込み客化(接点は、メールアドレスが多い)
- 見込み客育成(リードナーチャリングとも)
育成のプロセスは、薄い見込み客を濃い見込み客に変えていく過程を、3つの段階にこの図では分けています(TOFU/MOFU/BOFU) - セールスインタラクション(セールスマンとの対話、セールスマンの前に連れてくる。対面でも電話でもなんでも)
- 保持(リテンション)見込み客が生まれる素地となるアーンドメディアやオウンドメディアを維持管理する
です。
3.1.いくつかの省略語について
言葉としていくつか分かりづらい部分があるかもしれません、略語が好きですね英語圏は。
- CallToAction(CTA):反応装置とも言われる。問合せページやフォーム、電話番号の表示など、相手のアクションを促すもの、受け止めるもの
- TOFU:Top of Funnel(”漏斗” の上の部分。この場合は見込み客育成の初期段階)
- MOFU:Middle of Funnel(この場合は見込み客育成の中期段階)
- BOFU:Bottom of Funnel(この場合は見込み客育成の後期段階)
3番のコンテンツについてのイメージ、は以下の画像もご覧ください。
4.それぞれのステップについて
ここからはそれぞれのステップについて、インフォグラフィックスに書いてあることを中心にまとめていきます。
- 自社・自前メディア、広告メディアからの集客
- CallToActionとランディングページ
- 見込み客育成(見込み客フォロー)
- セールスインタラクション
- 保持(リテンション)
4.1.自社・自前メディア、広告メディアからの集客
インバウンド型で集客をしていきます、見込み客になるような潜在客をまずはサイトなどの自社メディアあるいは広告目でイァに連れてきて接点を持ちます。
- ブログの投稿や通常のWEBページ、プレスリリースなどを中心に情報を出していく。
相手の欲しがっている情報、求めている情報を出す - 基本的には検索エンジン経由とソーシャル経由で、相手にその情報が届くようにする。
SEOを行ったりソーシャル上で情報を発信するなどを行う - 目的は「トラフィックを生む(集客する)」「潜在客を教育する」「ブランドを作り上げる」「リーダーシップを作っていく」「他社の邪魔をできるだけ減らす」などが
- TIPSとしては「一週間に5〜10の記事を書いたら、見込み客アップが633%になったとか…
4.2.CallToActionとランディングページ
集めた潜在客を、見込み客にコンバージョンしていく
- ここがかなり大切。
- 基本的にはリスト、つまりメールアドレスを集める(記事中ではIPアドレスとも書いてあるが、これはIPから企業を割り出して、そこにアプローチするという意味ではと想像します)
- リストを集めるために「Free(無料)」のコンテンツは、できるだけたくさんあった方がいい
- アトリビューションの考え方も重要
4.3.見込み客育成(見込み客フォロー)
得られた見込み客をコンテンツを中心にしてフォローしていき、濃い見込み客にしていく
- 見込み客をセグメンテーションし、それぞれをスコアリングしていく。お客さんにならないような見込み客は省いていく。目的は「商売的に意味のある見込み客を集めること」だから
- 大切なのは「適切なコンテンツを適切な相手に適切なタイミングで送ること」
- 薄い見込み客を故意見込み客に育てていくプロセスは、一気に行うと言うよりは段階を踏んで行なっていく必要がある(スピードは商品などに依存すると思いますが)
- 段階に応じてコンテンツを選んで出していく(この辺りは、「コンテンツ戦略で使うコンテンツの16手法」の記事もご覧ください)
- TOFU:ホワイトペーパー(統計資料や”白書”)、数ページのeBook、ビデオ、チェックリストなど
- MOFU:WEBセミナー(Webinar)、事例紹介、無料サンプル、カタログ送付、よくある質問シート、スペックシート、小冊子
- BOFU:無料トライアルやデモ、無料コンサルティング、診断サービス、クーポン
4.4.セールスインタラクション
実際に販売の話をするためにセールスマンの前に来る、といったイメージでいいかと思います。
家電量販店で言えば、ネットで比較検討をしていくつかの機種に絞り込んで、それを実際に家電量販店の店頭で触ってみて決めた後に、最終確認のために販売員の方に声をかけるか、あるいはそのままレジに行く段階ですね。
大事なのは、4.3の見込み客育成までの段階で、買う気にさせておくこと。
この段階でのセールスは「最後のひと押し」をするだけでいい状況にすることが大切ですね。そのためのインバウンド・マーケティングです。
この時に「マーケティングとセールスの間でフィードバックし合う事が大切」と、元記事では述べられています。
4.5.保持(リテンション)
これがいまいち掴みきれていません。
直訳だと「大量のアーンドメディアやオウンドメディア上のコンテンツを維持し、熱気のあるコミュニティをキープしておくこと。それをネット上で見えるようにしておくこと。」と読めます。
恐らくですが、2.1〜2.4までがきちんと回っていれば常にあなたのサービスや商品について興味を持っていたり、よりアプローチしてくる集団の大きさをキープできているはずだ、それを維持していくことが大事だ、という意味ではないかと思います。
終わりに
インバウンド・マーケティングは、ここ1〜2年で急に現れたものと言うよりは、海外でも日本でも一部のマーケターは先行して独自に始めていたものが、一般的な手法としてここ1〜2年で脚光を浴び始めた、という捉え方をする方がいいかなと思います。
アウトバウンドマーケティングに正解がないように、インバウンド・マーケティングにも正解はないですよね。
ただ、今の消費者心理を考えた上で、こういった考え方をベースにマーケティングを行う必要があるのは確実。ベースとなる考え方を捉えた上で、業界業種手法得意分野に合わせて、さまざまな味付けをしていくのがいいのです。
この記事がその助けになれば幸いです。
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