2015年はWebマーケティングが実際のリアル世界のマーケティングに、いろいろな意味で近寄ってきたなと思う一年間でした。それはオンラインとオフラインの敷居が低くなってきたといった、お互いを隔てている敷居が低くなったということが、まず1つあります。
そしてそれ以上に、Webマーケティングもリアルの世界と同様に「時間」「知恵」「費用」が必要なのだなと改めて感じた1年でした。
基本的には、一発逆転隠れたノウハウといったものは無いと考えることをお勧めします。
時間をかけられないなら、広告やPRや外注に費用をかけなければなりません。逆にコストをかけられないなら、時間と知恵が必要と考えるべきです。
それはGoogleが頭良くなったという話もありますし、プレイヤーの数が一気に増えたからでもあります。
競合の数はどんどんと増えています。資本のある企業もあらかた参入しています。ネットを使って人知れず売上をあげられる業界は、ウェブ活用が進んでいない業界を除けば、ほとんどないです(そういう業界はまだありますが)
このことは、特にこれから力を入れようと思っている企業はおさえておくべきです。
ネットはもはや魔法の杖でも、何かを解決する銀の弾丸でもありません。
成果が出るまでに時間がかかる言い訳をしたいわけではなく、急速なことをしようと思ったら、危ない橋を渡るかお金をかける必要がある。リアルの世界のマーケティングやセールスと同様に、きちんと育てていくことが大事です。
目次
特にコンテンツ活用は注意してパートナーを探すべき
なんでこんなことを書いたかというと、最近広告以外の集客手段として頻繁に出てくる「コンテンツ活用(≒コンテンツ・マーケティング)」これは、成果をあげるなら、時間と労力がかかるものであるにも関わらず「今の時代の即効&特効薬」のようなイメージを持たされているように感じるからです。
実際やってみると、これは
- 設計と企画に時間がかかり
- コンテンツを作る体制整備と実際の生産に労力(時間と費用)がかかり
- PDCAサイクルが回しづらい
ものです。
それは決して「やってはいけない」と言いたいのではないです。
相手に自分から欲しいと思ってもらうためのインバウンド集客を考えると、コンテンツを活用することは必須と言えます。
しかし「大変なものなのだ」と考えるた方が良いということです。単純な近道はないです。
残念ながら非常に多い、サイト全体の文字数を増やすだけのコンテンツ活用

そうすると、残念ながらサイト全体の文字数を増やすだけの仕事になっているケースが散見されます。
もちろん、その企業が売っている商品やサービスに関するコンテンツがどんどん追加されているわけです。しかし、
- コンテンツの中に専門性が感じられない、中の人感覚がない
- 疑問やニーズに応えるというよりは、ただ何かのトピックスについて書いているだけ
- そのコンテンツを見た人が、スムーズに商品やサービスに興味を持ってくれるような流れができてない
といったものがあるんです。
こういったものは、GoogleSearchConsoleのインデックス数をある程度増やす効果はあるかもしれません。ロングテールでの集客に多少貢献するかもしれません
しかし、問合せや成約などに繋がらないと思われます(実際、上がらなくて改善方向を相談されるケースも少なからず有ります)
これはサイト全体のボリュームを増やすだけ、同時に価値を薄める効果しかありません(※リンクベイトコンテンツは例外)
リード獲得型サイトは特に、検索してきたお客さんがどんどん直帰してしまうコンテンツを多数作っても何も生まれません。
最悪、そのコンテンツの一部分で検索をかけると、多数の他のサイトの記事が引っかかり(要はコピーコンテンツ、ないし微妙なリライト)しかも同じ業界の競合他社数社の記事とヒットするケースも有ります。
要するにその業界で影響力がある、あるいは牛耳っている業者が、微妙な品質のコンテンツをいろいろな会社に提供しているケースです。
こういうケースは業界全体が業者に利益を吸い取られるだけで誰も得しないという最悪の状況です。
※一度自社の更新コンテンツを調べてみてください
不安になった方は、自社で他社に依頼して増やしているコンテンツの一部をランダムに抜き出して検索してみることをオススメします。全く同じ文章や微妙に言い回しを変えた文章が検索結果に出てきたら、危険信号です。
また、アクセス解析を見て、増やしているコンテンツの離脱率や直帰率が高いケースは要注意です。ある程度幅広いユーザーが見るので、直帰率や離脱率は高くはなりがちですが、それが80-90%を超えていたら、意義を疑うべきです。本来の目的はビジネス上の成果であって、アクセス数ではないですよね。
コンテンツに寄る成果がでるには本当は時間が掛かる
コンテンツ活用とは、本来は「コンテンツを通じて買い手(潜在客・見込み客・既存客)と定期的に接触し、相手のステージに合わせた相手がほしい情報をわかり易く提供していく中で、自社商品に関するメッセージや情報を伝え、欲しい人に買ってもらえるようにする」ものだと思っています。
前提としてマッチングなので、マッチする人をきちんと集めていくために行います。
なので商品がそもそもダメな場合はどうやっても売れません(というか売ってはいけない)必要な物がそれを必要としている人に届く世界であってほしいなと思っています。
で、このプロセスを進めるには時間がかかります。
それは体制づくり・コンテンツ作成・世に出した後のリードへのリーチ期間・リード育成期間などが必要だからです。
この辺りは、コンテンツの力でリーマン・ショックを乗り切ったリバ・プール・アンド・スパ(River Pool and Spa)社の社長で、現在はコンテンツ・マーケティングのコンサルをやっているMarcus Sheridan氏もブログで書いています。
▶The 5 Stages and Time-frames of Content Marketing Success
http://www.thesaleslion.com/stages-time-frames-content-marketing-success/
Marcus Sheridan氏が考える成果が出るまでの5段階
コンテンツ・マーケティングの第一人者とも行っていいMarcus Sheridan氏ですが、ブログではかなり長いスパンで考えていると書いています。
具体的には5つのステップに分けつつ、これくらいのスパンです。
- 規則正しくコンテンツを出せるようにする社風と仕組みを作る(1〜3ヶ月目)
- あなたのサイトの価値にGoogleが気づき始める(2〜5ヶ月目)
- 見込み客がコンテンツ経由で現れる(3〜6ヶ月)
- セールス効果と利益が生まれる(4〜12ヶ月)
- 一気に伸びていく(18〜36ヶ月)
3ヶ月目までに組織と仕組みができて、Googleにある程度認知され(ターゲットキーワードでのファインダビリティが上がっていく)見込み客が現れ始めるのが3ヶ月目から、売上が上がり始めるのが4ヶ月目から、加速していくには1年半くらいから。
かなり長い目で見ていると分かります。
以下のグラフがそのイメージです。
このプロセスは大前提としてマーカス氏の「正しいガイドライン」に沿っています。
それは
- 毎週少なくとも2~3つの新しいコンテンツを作成している(動画、記事など)
- 「聞かれたことに答える(“They Ask, You Answer”)」フィロソフィーにそっている(見込み客または顧客が購入するときに最も共通して抱く疑問に、本当に答えようとする意欲。例えば価格、問題、比較、レビューなど)
- その企業が全体的として参加していること。管理職から営業、マーケティングに至るまで、すべての人が参加し任務が確立している。
です。
終わりに
もともとサイト自体が集客力と一定の見込み客育成の仕組みを持っていれば(センスがある人が作ったサイトは自然にそうなっていたりします)そこに集客用のコンテンツをプラスすることで、短期間に効果が出始めるということはあります。
しかし。これから新規で始める、今のサイトが成果をあまり上げていない、という状況なら、コンテンツを入れ始めても、しばらくは成果の見えないまま仕組みづくりとコツコツとコンテンツを増やしていく作業になります。
しかしそれを抜けると、今までの積み重ねが一気に花開いていきます。そこまで我慢できるのか、安易な手段でショートカットしようとして失敗しないかが重要です。
お客さんのニーズに応える内容を投稿し続けていれば、そこには自然と信頼とブランドが生まれ、そしてそのコンテンツからはセールスに繋がる流れができます。
例えば一番分かりやすいのはFAQの濃いものを作り続けることかもしれません。これはリバプールアンドスパ社が行ったことです。
詳細は以下の記事もご覧ください。
→そのFAQページ、ただ質問に答えるだけで終わってはいませんか? – Web戦略ラウンドナップ
https://strategy.roundup-consulting.jp/strategy/faq-improvisation-tip/
実際、きちんとリサーチしてニーズのある独自コンテンツを投稿し続けていれば、集客力やブランド、信頼度、そして他社を寄せ付けない強み・資産、参入障壁が上がっていきます。トライは絶対にしていただくことを、強くおすすめします。
来年からコンテンツに本格的に取組もうという方のご参考になれば幸いです。
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