Googleが検索を100%SSL化していくというニュースが先週流れました。
これは事実で、実際、キーワードが取得できなくなっている割合はどんどん上がってきています。
GoogleAnalyticsで言うと、(not provided)の急激な増加です。
では、この状況下において、いわゆるSEOの専門家ではない、一般のWEBマーケターとしては今後いったいどうすべきでしょうか。
そのためにはまず、そもそも「どんなことが起きているのか」「何が問題なのか」を把握する必要があります。
というわけで、この記事では「おさえておきたい背景」や「基本的な部分」をさらっていきます。
そもそも、なんでキーワードが取得できなくなると困るの?といった方むけの記事です。
目次
いったいなにが問題なのか?(not provided)
ホームページのアクセスにおいて多くの割合を占めるのが、様々な検索エンジンからのアクセスです。Googleをはじめ、Yahoo!やBingなどです。
検索エンジンからのアクセス者が、いったいどんなキーワードでサイトにアクセスしてきたのか。それは、とても大事な情報です。
なぜなら、そこから様々なことが推測できるからです。
例えば
- あるキーワードでアクセスしてきた人は、あなたのサイトの内容に満足できたか
- どんなキーワードで来ている人が、売り上げにつながるのか
- 新規顧客を取っていくために、次に狙っていくべきキーワードはどれか
などです。
キーワードの情報があると、そんなことを推測してPDCAを回せます。
─
アクセス解析の観点で言えば
- キーワードごとに、ランディングページと直帰率を見る。
直帰率が悪ければ、サイトのコンテンツが検索者のニーズに合って可能性が高いので、改修を行う - キーワードごとのコンバージョンレートを知ることで、購買につながるユーザのイメージを掴める、力を入れるべき場所がわかる
- 上位表示もしていない、あまりコンテンツも力を入れていないにも関わらずコンバージョンレートが高いキーワードがある。なら、もっと上位表示させて(あるいはリスティング出稿)コンテンツも力を入れれば、もっと顧客を獲得できるのでは
といった、アクションを行っていくことが、できます、よね。
キーワードが取れなくなるということは
それが出来なくなるということ
キーワードが取得できなくなるということは、端的に言えば先ほどのようなことが「できなくなる」ということです。
「キーワードというアクセス者のニーズ」から様々なことを推測して、それに基づいた施策を行うことができなくなるということです。
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実際どうなるかというと、
“具体的な検索キーワードは分からなくなり、ざっくり「Google検索から来ました」くらいしか分からない”
状態になってしまいます。
イメージとしては、簡略化した図ですが、以下の様なイメージです。
A.古きよき時代(Googleが全くSSLを導入していなかった時代)
キーワードが分かっている時代は、以下の様なデータが簡単に取得できました。
なので、セグメントを分けて改善していくことができました(数値は適当)
それが、以下のようになります。
B.完全SSL化された状態
キーワードごとに分けて調べることが出来なくなります。
従いまして「ページAにGoogleから何かのキーワードで来た人は、購買に繋がりやすい」くらいしか、分かりません。
路面店でたとえるなら「店に来た人の姿形が全部モザイクでかかって見えなくなっている状態」でしょうか。
「店に何かしらの交通手段で来訪した(Googleから来た)」しか分からない状態です。しかも話しかけることは禁止されているという…。
こうなってしまうので、Google検索の完全SSL化というのは、どうしたものかな、という観点で注目されております。これが背景です。
今までも、ある程度しかキーワードは分からなかったのですが、それが100%わからなくなってしまうんですね。
日本はまだ少し恵まれているが…
海外は、ほぼほぼGoogleの独占状態ですので、かなり厳しい状態です。
日本の場合は、多少恵まれていて、Yahoo!やそれ以外の中小検索エンジンがまだ頑張っている関係で、yahoo!経由などはデータが引き続き取れます。しかし、あちらも中身はGoogleですから、いつ同じような措置になるかは分かりません。
Yahoo!JapanのデータもSSL化されたら、同じように厳しい状態になります。
そしてその可能性は決して低くはない、と考えると今のうちに対応を考えておくことをオススメします。
実際今どれくらい海外ではキーワードが取れなくなっている?
これについては、今は80%くらいです。
以下のサイトが、60のサイトのGoogleAnalyticsデータを集めて、日々データを更新しています。
2013年10月1日時点で79.71%です、と思ったら記事を書き終わった時には80.21%になっていました。
今の割合で進むと、11月17日には100%になるとか…。
▶Not Provided Count – Charting the rise of (not provided) in Google Analytics : http://www.notprovidedcount.com/
ではこれから、どうしたらいいのか
では、これからどうしたらいいのか。
例えば最初に挙げたこの3つのようなことを、今後調べることはできるのか。
- あるキーワードでアクセスしてきた人が、あなたのサイトの内容に満足できたかどうか
- どんなキーワードで来ている人が、売り上げにつながるのか
- 新規顧客を取っていくために、次に狙っていくべきキーワードはどれなのか
例えば、一番最初の「あるキーワードでアクセスしてきた人が、あなたのサイトの内容に満足できたかどうか」については、こんな調べ方になると思います。
↓
【not Provided 100%後に】あるキーワードでアクセスしてきた人が、
あなたのサイトの内容に満足できたかどうか調べる
キーワードごとのアクセスが完全に分からなくなる分、もっとアクティブに情報をを先回りして知る必要があります。
また、複数のツールを使う必要があります。
結論としては、以下の3つから推測します。
- GoogleAnalyticsでランディングページ毎のGoogleからの遷移数を知る
- ウェブマスタツールのデータ(CTRなど)を使う
1.GoogleAnalyticsでランディングページ毎のGoogleからの遷移数を知る
今のところ、GoogleAnalytics上でも、Googleのオーガニック検索経由でどのページにどれくらいのアクセスが有ったかは分かります。
これは「トラフィック」→「検索」→「オーガニック検索」で、セカンダリディメンションを「ランディングページ」にしたものです。
それぞれのページごとに何VISITあったかは、分かります。また、直帰率や平均滞在時間なども分かります。
何のキーワードか分からないけれども、Googleからオーガニック検索(通常検索)で来た人は、こんな感じのパフォーマンスである、ということは分かります。
簡単では有りますが、GoogleAnalyticsのカスタムレポートを享有しましたので、下記のリンクから Solution gallley経由でよろしければ使ってみて下さい。
2.ウェブマスタツールのデータに頼る
そして後はウェブマスタツールのデータに頼る他ないかなと思います。
データ自体大雑把で、更新も遅いですが、これしかないので…。
上記はウェブマスタツールの「検索クエリ」の画面です。
大雑把ですが
- 流入キーワード(検索キーワード)
- そのキーワードでなんかい表示されたか(表示回数)
- その検索結果からのクリック率、クリック数
- 平均の順位
が分かります。
順位チェックツールがなくとも、平均掲載順位で大雑把な状況はわかりますし、キーワードをクリックすれば、そのキーワードで表示されているページが分かります。
検索結果でのクリック率も分かりますので、そもそも上位表示できていないのか、それともスニペットの問題なのか、ある程度目星をつけられます。
このように、ウェブマスターツールでクリック率と順位を把握し、そのページの直帰率などのパフォーマンスはGoogleAnalyticsで見るという組み合わせがベスト・プラクティスなのかなと。
ウェブマスターツールのデータがもっと細かく、更新早くなるといいのですが、そこは「そうなったらラッキー」位の感覚のほうがいいですね(がっかりしたくないので)
─
と、こんなやり方をすれば、ある程度の目星は付けられるのではと思います。
その辺りが、現実的な推測方法です。
※メルマガでも書きましたが、検索順位チェックツールは、別途持つことをオススメします。
ウェブマスターツールでは「今まさに何位なのか!」が分かりませんし、変化が記録できないので「振り返り」が出来ません
補記
- サイト内検索をつけるというのも有りかと思いますが、今すぐ客が検索するだろうか、ECサイトを除き、とも思いますし、そもそもサイト内検索が合わないサイトもありますよね(B2B向けのシステム販売など…)あまり意味があるとは思えません。
- GoogleAnalytics以外のアクセス解析が「死ぬ」という内容を見かけますが、それは言い過ぎではないかと思います。確かにGoogleAnalyticsは、画面内でWebMasterToolとスムーズにつながっているので、使いやすさという面で有利ではあります。
- ただ、カスタムレポートで便利にクロスして使えるわけでもないですし、それほどメリットが有るとは感じません。ちょっと考え過ぎではないかと。また、このタイミングでGoogleがAnalyticsだけ何らかの形で優遇すると、バッシングも大きいのではと思います。
- また、SEOが死ぬなんていうのは論外で、それが真実だとしたら、少しづつ死んでいるはずです。not providedが増えだしたのは今に始まったことではありませんので…。
Googleのこの対応に関しては、マーケターの中でも大きく2つに意見がわかれています。
- もうキーワードの時代じゃない、細かいキーワードを追うのではなくもっと包括的にパラダイムチェンジする時だ
- キーワードがあるに越したことはない、それによって、私達はもっと有益な情報を出せる、それは買い手にとっても売り手にとっても有益なはずだよ
いろいろな記事のコメント欄を見ていると、どちらかというと前者が優勢に思えます。
私はどちらかというと後者よりで、言ってみれば性善説の立場かもしれません。キーワードがあると、ホームページの改善が進めば、買い手側にもメリットがあると思っています。悪いことに使われる…かもしれませんが、私は改善のために、データを残しておいて欲しかったなと思う次第です。
photo by Cowgirl Jules
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