Appleの創始者Steve Jobsについては、そのカリスマ性とAppleのクローズドな方向性のせいか、マイナスな見方をされることが少なくないですね。
例えば、Appleは製品の質はイマイチでもJobsのプレゼンテーションと魅力で売れてしまうといったような。
しかし、技術として積極的に注目している方もいるかと思います。
Appleのユーザはロイヤリティが高く、Apple社の製品を使い続ける割合が高い。つまり、一度ユーザになるとなかなか離れません。また、高い割合で他の人に製品を勧めてくれるようです。
紹介は、新規顧客を獲得する際にコストがほとんどかからないため、非常にありがたいチャンネルです。ここを伸ばすことで新規顧客獲得コストを大きく減らすことができます。
これに関して、参考になりそうな記事がありました。Neuromarketingから。
▼Revealed: How Steve Jobs Turns Customers into Fanatics | Neuromarketing
ジョブズがいかにして顧客を熱狂的なファンにするかという点を、社会心理学者のHenri Tajfel氏(以下ヘンリー・タジフェル氏)の理論を紹介しながら記事にしています。
その中でAppleのCMをあげて説明している箇所がありました。
ですので、この記事の趣旨とはずれるのですが、改めてAppleのCMの中で個人的に「凄いな」と思うものをピックアップしてみました。
目次
※ヘンリー・タジフェル氏とは
社会心理学者であるヘンリー・タジフェル氏は、 「グランファルーンテクニック」 という手法を提唱した人物です。
「グランファルーンテクニック」 とは、簡単に言えば、人間同士が共通点を積み上げていくと、例えそれがささいなものであっても親密度が上がっていくというものです。
マーケティングなどに関わらず実際色々な所に転がっています。また、組織行動論の書籍には大体載っています。
そして、以下のような文脈で語られることが多いものです。
例えば、全くの赤の他人同士を集めて、コイン投げの結果により、被験者達を二つの集団にわけます。
別の実験では、被験者に、名前も聞いたこともないような数人の画家についての好みを聞き、その好みに基づいているかのように、好きな画家の集団ごとに、ランダムにわけます。タジフェルの研究が非常に興味深いのは、これらの被験者達は、お互い赤の他人で話もしたこともなく、お互いの行動は完全な匿名条件のもとで行われたにもかかわらず、被験者達は、意味のないラベル、つまりコイン投げの結果や画家の好みといった、なんでもない共通点の共有により、親友や親類縁者のように振る舞ったというのです。
コーヴにみるプロパガンダの方法:ゆうあいぶろぐ
文章を読むと、確かにそういうことはあるなと思いますし、実際非常に良くあることを述べているように感じることもあります。まず共通点を探そうというのは人間関係を築くためのよくある手段です。
記事は、AppleはこれをうまくCMやプレゼンテーションに織り込んでいる、という内容です。
ちなみに、この記事のポイントは3つ
- 「製品を使っている私たち」と「そのほかの人たち」に分ける
- 製品ではなくて、製品を使っている人という視点で比較する
- 自社の製品を使っている私たちは、他と違って、さらによりよい決断をしていると感じさせる
です。
おおざっぱには、製品やサービスそのものではなく、それを使っている人々に焦点を当てて、「使っている人」と「使ってない人」で比較しようということです。
AppleのCMピックアップ
個人的な主観がかなり入っているので、その他見たい方はYouTubeで「Apple CM」などと検索してみてください。
しかし、Appleは伝えたいイメージやメッセージが絞り込まれていて本当に明確ですね。
■真っ白背景のシリーズ
このシリーズは、対比が露骨という点で日本ではあまり評判が良くありませんが、「製品ではなく製品を使っている人で比較する」というテーマに通じるものがあるのではと思います。
■MacのCM「Get a mac」日本版全12回
ラーメンズの日本版でのCMでしたが、あんまり日本での評判は良くなかったですね。米国のやり方とかなり近いやり方だと思うのですが、この当たり国民性の違いがありそうです。
■iPhone発売予告CM
あのAppleが電話を出すんだ!というメッセージのみにひたすら絞った例。
■初代iMacのCM
こんなカラフルなパソコンを出すよ!とメッセージに絞った例
■Think Different
「彼らはクレイジーだといわれたが…」で有名なシリーズもの。
■SoftBank版 iPhone4CM
これは、お父さんシリーズなども含めてですがSoftBankのCMは今本当にうまい。このCMシリーズもAppleの方向性を見事に汲んでその上で日本人むけにうまくアレンジしていると思う。
■iPhone4
先ほどのソフトバンクのものと似ていますが、こちらの方はよりシンプルです。日本の場合家族を絡ませるとかなり反応が良いのでしょうか。
このCMは、iPhoneに写っている奥さんの目に自然と目が吸い寄せられ、さらにゆっくりズームすることでそれが助長されていて、自然と最後まで見つめてしまいます。で、最後はAppleロゴがバーンと。
■1984
今見ると、相当トんでいます。
番外編
■G4 Cube
この外観ほんとに好きなんですが、復活しないですかね…MacMiniの中身を移植したりするしかないのかなぁ。
■1992年の日本でのCM
よく残ってましたね…見たような見てないような。
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